2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國方 彦志 Tohoku University, 病院, 講師 (40361092)
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Keywords | サイトカイン / ケモカイン / 前房水 / 硝子体 / 中心窩網膜厚 / VEGF / トリアムシノロン / MIP-1b |
Research Abstract |
我々はまず様々な疾患の前房水と硝子体ゲルを採取し、それらのサイトカインとケモカイン濃度を測定した。重度の増殖糖尿病網膜症、血管新生緑内障などVEGF上昇すると言われる疾患に、抗VEGF抗体を投与した際は、その後の採取前房水・硝子体のVEGFは低くなると考えられる。しかしながら、投与前から測定限界値に満たない症例も多く、有意な抗VEGF抗体の効果を確認することはできなかった。 一方で、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、糖尿病による各黄斑浮腫症例の前房水・硝子体を、ベースラインで解析することが出来た。前房水VEGFは各群で有意差を認めなかったものの、硝子体VEGFは糖尿病で有意に高値であった。しかしながら、前房水IL-6は各群を比較するとCRVOで有意に高値であったが、硝子体IL-6は有意差を認めなかった。 また、MCP-1、MIP-1bはBRVOの前房水で測定可能であり、トリアムシノロン(TA)投与前後で黄斑浮腫の中心窩網膜厚(FT)を含め以下の解析することが出来た。 (1) BRVOの前房水MIP-1bは、黄斑前膜などのコントロール群より有意に高値であった。 (2) MCP-1、MIP-1bとFTは、TA投与後で有意に低下した。 (3) MCP-1、MIP-1bは、TA投与前のFTと相関はなかったが、前房水MIP-1bのTA投与前後変化量は、TA投与前のFTとFT改善量と相関した。 今回の結果から、サイトカイン値は疾患により前房水と硝子体で差異があり、またMIP-1bはBRVOによる黄斑浮腫の様々な成因のうちと一つと考えられた。
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