2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國方 彦志 Tohoku University, 病院, 講師 (40361092)
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Keywords | サイトカイン / ケモカイン / 硝子体 / ステロイド / トリアムシノロンアセトニド / 黄斑浮腫 / 網膜静脈分枝閉塞 / MIP-1β |
Research Abstract |
新しい視機能予後予測システム構築を目的とし、まず黄斑浮腫に関わるケモカインを測定した。網膜静脈分枝閉塞症に起因する黄斑浮腫に対しては、トリアムシノロンアセトニド(TA)を硝子体中に投与し、その前後における前房水ケモカイン(eotaxin、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、RANTES)濃度を測定した。投与後1週間において黄斑浮腫は有意に低減し(P<0.001)、中心窩網膜厚(Foveal Thickness ; FT)の低下量はベースラインでのFT値と相関がみられた(P<0.001)。前房水に関しては、ベースラインにおいてMCP-1とMIP-1βは検出でき、MIP-1βはコントロール群より有意に高かった(P=0.004)。しかしながら、eotaxin、MIP-1α、RANTESは測定限界値未満であった。ベースラインにおけるMCP-1とMIP-1βはお互いに相関しておらず、それぞれFT値とも相関がみられなかったが、TA投与後1週間後には両ケモカインは有意に低下した(MCP-1;P<0.001、MIP-1β;P=0.04)。MCP-1とMIP-1βはそれぞれTA投与後1週間後のMCP-1とMIP-1βに相関していた(MCP-1;P=0.006、MIP-1β;P=0.02)。さらに、MIP-1βの低下量は、ベースラインのFT値(P=0.02)とFT低下量(P=0.02)に相関していた。また罹病期間との相関は、ベースラインの視力(P=0.32)、前房水MCP-1(P=0.10)、MIP-1β(P=0.74)のいずれとも認めなかった。 これらの結果から、MCP-1とMIP-1βは黄斑浮腫の急性期慢性期のメカニズムに直接的には関与していないことが示された。しかしながら、前房水MIP-1β低下量は、ステロイド投与後の黄斑浮腫改善を反映している。即ち、網膜静脈分枝閉塞症に起因する黄斑浮腫でステロイドに反応する黄斑浮腫は、MIP-1βと極めて関与が深いことが示された。
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