2008 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療実現に向けた角膜・結膜上皮幹細胞の機能、特性解析と応用に関する研究
Project/Area Number |
20791247
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横尾 誠一 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 特任研究員 (20345052)
|
Keywords | 再生医療 / 角膜 / 幹細胞 / 組織幹細胞 / 無血清 / 無フィーダー / 上皮 |
Research Abstract |
本研究・は角膜輪部・結膜上皮における成人組織幹細胞の分化能の解明と安全な培養法、応用範囲の拡大により再生医療の実現化や成人組織幹細胞研究から得られる知見を社会へ還元することを目的としている。本研究年度にはいくつか顕著な成果が得られた。まず成人角膜上皮幹・前駆細胞の発見報告を米国科学雑誌「Stem Cells」で行った。ヒトを含め角膜上皮幹細胞・前駆細胞の単離の報告はなく、世界に先駆けて無血清培養条件による単離できたことは今後の研究の発展に大きな意義がある。当該技術による知的財産権も出願と実施許諾を既に進めており我が国のライフサイエンス産業に貢献できるものと考えられる。本報告はFACSといった高額な海外研究用機器を用いず、また幹細胞の特異的マーカーの先行発見を必要としない。今後得られた幹細胞から新規の幹細胞マーカーを芋づる式に同定、商品化する目処がつき極めて重要な成果であった。次に無フィーダー・無血清培養条件により再生医療に用いる角膜上皮シートを作成したという報告を米国科学雑誌「Invest Ophthalmol VisSci」にて行なった。我が国の再生医療実施にあたりフィーダー細胞使用に関する指針があるが、これらを一気に解決できる可能性を示した。また論文では詳細に報告していないが、これら組織幹細胞の分化能は極めて限定的であり、ES細胞やIPS細胞で報告がある分化全能性を発揮できない。これは他の様々な組織・臓器へそのままでは作りだすことは出来ないが、由来の組織へは特に分化制御をせずとも狙い通りの再生組織を作成できることを意味する。本年度の研究により、成人角膜上皮幹細胞の単離が達成され、かつ無血清・無フィーダー条件における低コストかつ安全な再生医療の実現が達成見込みとなった。
|