2009 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞の形態形成・維持における転写因子Tead1の機能解析
Project/Area Number |
20791261
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北川 道憲 Kumamoto University, 発生医学研究所, 助教 (30314496)
|
Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 転写因子 / ミスセンス変異 / 遺伝性疾患 / 網膜萎縮症 / Tead1 / CTGF / ドミナントネガティブ |
Research Abstract |
Tead転写因子ファミリーは、様々な種において組織分化・器官形成に重要な役割を果たす事が知られている。常染色体優性の網膜色素上皮変性疾患であるSveinsson脈絡網膜萎縮症(SCRA)の患者に見出されたヒトTEAD1のミスセンス変異は、その転写活性を低下させることが明らかとなった。本研究は、マウスをモデルとして、ヒトTEAD1のミスセンス変異に相当する変異をマウスTead1へ導入し、網膜色素上皮細胞においてその発現を薬剤依存的に制御することによって、網膜色素上皮細胞の形態維持における変異型Tead1の機能およびその標的候補遺伝子を明らかにすることを目的としている。本年度は、テトラサイクリンにより外来的に変異型Tead1の発現誘導が可能な網膜色素上皮細胞株を利用して、内在性Tead1の転写抑制・細胞増殖に及ぼす影響を検討した。標的候補遺伝子であるCTGFのプロモーター領域下流にルシフェラーゼ遺伝子を導入したレポーターベクターに対し、外来的に変異型Tead1を発現すると、CTGFの転写活性は抑制された。これは変異型Tead1がドミナントネガティブに働く事を示している。さらに、変異型Tead1の発現は、細胞増殖を抑制する事も明らかとなった。以上の結果から、変異型Tead1は、標的遺伝子の転写を抑制し、細胞増殖を抑える事が考えられた。
|