2009 Fiscal Year Annual Research Report
SOD1欠損マウスの加齢黄斑変性病態における網膜色素上皮の上皮細胞の上皮間葉移行
Project/Area Number |
20791269
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平沢 学 Keio University, 医学部, 助教 (80365345)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 上皮間葉移行 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
近年の報告より,加齢黄斑変性の原因として酸化ストレスが深く関わっていることが考えられている。 我々は酸化ストレス亢進モデルであるSOD1ノックアウトマウスに着目し、同マウスの加齢における網膜病変に着目した。その結果、加齢とともに網膜全層の菲薄化が見られ,電気生理検査にても、振幅の低下を認め、酸化ストレスの亢進によって網膜変性が起こるモデルであることを既に報告している(Hashizume,Hirasawa et al American Journal of Pathology 2008)。同マウスでは,老化の過程で網膜色素上皮細胞(RPE)の接着障害が生じ、周辺に沈着物の蓄積が起こり、RPEの網膜内への浸潤が見られた。このことから、RPEは酸化ストレスにより上皮間葉移行(EMT)を起こし、そのことが加齢黄斑変性の発症機序の一端に関与している可能性を考え,そのメカニズムの解明が加齢黄斑変性の病態形成/治療につながるものとして解析を行った。その結果、遊離したRPEでは、接着分子の発現低下を認めていたものの、間葉系マーカーの発現については僅かであった。また、EMTを制御する転写因子については、Snail familyなどの局在につき解析を試みたものの、SOD1ノックアウトの遊離RPEについては、局在は明らかではなかった。一方、同時に計画・検討していた、ヒト加齢黄斑変性における、RPEのEMTの関与については、ヒト脈絡膜新生血管摘出標本にて組織内のRPEにEMT関連転写因子であるSnailの核内染色像を認め、AMD病態に関わっていることが分かった。組織の線維化形成に関与している可能性が示唆され、現在培養細胞での結果を加えて投稿準備中である。
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