2009 Fiscal Year Annual Research Report
角膜内皮不全が角膜上皮幹細胞疲弊症を来すメカニズムの解明
Project/Area Number |
20791275
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内野 裕一 Keio University, 医学部, 助教 (80365337)
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Keywords | 水疱性角膜症 / 角膜上皮幹細胞 / 角膜輪部機能不全 / 幹細胞疲弊(stem cell deficiency) |
Research Abstract |
長期にわたる水疱性角膜症において、角膜上皮が結膜上皮化する臨床例を多く経験する。これは水疱性角膜症に起因して上皮のターンオーバーが亢進し、角膜上皮幹細胞の枯渇を誘発している可能性が考えられる。そこで我々は水疱性角膜症モデルを白色家兎で作成し、水疱性角膜症の角膜上皮への影響を検討した。まず、30mg/kg/日の投与黛でBrdUを耳静脈より10日間投与したウサギの左眼を逆向きのシンスキーフックを用いて内皮を剥離し、ウサギ水疱性角膜症モデルを作成した。経時的変化を観察するため、右眼をコントロールとして、作成直後、1週間後、2週間後、6週間後の眼球を摘出し角膜組織を包埋した。上皮の増殖・分裂速度を観察するため、角膜組織切片を作成し、抗BrdU、抗Ki67抗体を用いて免疫染色を行った。内皮を剥離直後から角膜実質の白濁が観察され、1週間後にはコントロールの5倍以上の角膜厚となる水疱性角膜症を作成することができた。2週間後、角膜周囲から一部血管侵入も認められるようになったが、6週間後でも結膜上皮の角膜への侵入は認められなかった。1週間後、2週間後においてBrdU陽性率を比較したところ、水疱性角膜症の角膜上皮でBrdU陽性率が減少傾向を示していた。また、Ki67陽性率においては水疱性角膜症の角膜上皮で増加傾向が観察された。これらの結果から、水疱性角膜症によってその角膜上皮のターンオーバーが亢進し、角膜上皮幹細胞の枯渇を誘発している可能性が考えられた。
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