2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症モデルにおける白血球接着分子LFA-1,Mac-1の機能解析
Project/Area Number |
20791277
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 航介 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 講師 (90296666)
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Keywords | 白血球接着分子 / 白血球ローリング / 白血球接着 / 糖尿病網膜症 / ICAM-1 / LFA-1 / Mac-1 |
Research Abstract |
昨年度おこなった実験システム構築により,Autoperfused Micro Flow Chamber Systemをマウスに接続し、P-selectinコーティングチャンバー上での白血球ローリングを動画解析することが可能となった。これを受け,糖尿病網膜症モデルマウスと対照群を作成し、LFA-1、Mac-1の接着機能を評価するためにmouse recombinant ICAM-1(5μg/ml)をmicro flow chamberにコーティングして、白血球ローリングおよび接着の評価を試みた(対照群、糖尿病群ともにn=3)。しかしながら、白血球とmicro flow chamberとの反応(ローリング、接着)は認められなかった。このことは、ICAM-1の存在のみでは白血球ローリングや接着は開始されないことを示していた。同結果を受けて,mouse recombinant P-selectin(5μg/ml)をmicro flow chamberにコーティングして、白血球ローリングおよび接着の評価を試みた(対照群n=4、糖尿病群n=5)。本実験では,昨年度の予備実験と同様に白血球ローリングが観察され、再現性の確認とローリング速度の測定をおこなうことができた。結果として、糖尿病群で白血球ローリング速度の低下が認められた。このことは、糖尿病網膜症モデルマウスにおいてP-selectinのcounter-ligandであるPSGL-1の接着機能が亢進している可能性を示していた。本研究においては、当初想定していたLFA-1、Mac-1の機能評価までに現時点では至っていないが,糖尿病網膜症モデルマウスにおけるPSGL-1の接着機能亢進を示唆する知見を得ることができた。本知見は,糖尿病網膜症の発症メカニズムに対する理解を深めることにつながる可能性があり,今後さらにその機能亢進のメカニズム解析をおこなう予定である。
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