2009 Fiscal Year Annual Research Report
角膜における細胞外ドメインシェディングを介した病態生理機構の解明
Project/Area Number |
20791284
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
崎元 暢 Nihon University, 医学部, 助教 (20465272)
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Keywords | 細胞外ドメインシェディング / メタロプロテアーゼ / 角膜 / 酵素 / 発現制御 |
Research Abstract |
研究成果:平成21年度研究では、(1)角膜上皮における細胞外ドメインシェディング(以下シェディング)については、SV40導入不死化培養角膜上皮細胞において、TACE(TNF-α converting enzymeまたはADAM17)促進剤(phorbol myristate acetate、peptidoglycan)やTACE阻害剤(TIMP-3、TAPI-1)を用いてTNFレセプター1(TNFR1)のTACE依存性シェディングを証明し、海外雑誌に発表掲載した(Sakimoto T et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2009)。(2)培養角膜上皮細胞におけるTACE依存性のIL-6レセプター(IL-6R)シェディングを確認した。また、リコンビナントのIL-6/IL-6Rを培養線維芽細胞に投与し、IL-6/IL-6Rのトランスシグナリングを検討した。IL-6+IL-6R双方を投与するとIL-6/IL-6Rトランスシグナリングによる細胞内シグナル伝達物質であるSTAT-3のリン酸化が濃度依存性に認められた。このことにより角膜上皮から産生された可溶性のIL-6RがIL-6とともに角膜実質へ作用し、IL-6の炎症性シグナルを伝達している可能性が考えられた。(投稿準備中)(3)シェーグレン症候群やStevens-Johnson症候群などの角膜免疫疾患症例の涙液中の可溶性TNFR1と可溶性IL-6R濃度をELISAや蛍光マイクロビーズアレイシステムで解析中であり、その中間結果は学会で発表した。 意義と重要性:角膜における炎症制御に可溶性TNFR1や可溶性IL-6Rが重要な役割を果たし、そのコントロールにTACEなどのメタロプロテアーゼによる細胞外ドメインシェディングがキープレイヤーである可能性が証明されつつある。今後、各種角膜疾患におけるTACEなどのADAMファミリーの発現や細胞外ドメインシェディングによって放出される他の可溶性レセプターの検討を行う予定である。
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