2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミューラー細胞における脂質代謝に関する網羅的な組織化学
Project/Area Number |
20791286
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
厚沢 季美江 Fujita Health University, 医学部, 助教 (60387727)
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Keywords | 眼組織化学 / 抗体アレイ |
Research Abstract |
目的 : 網膜Muller細胞における脂肪酸β-酸化に注目し、蛋白質・遺伝子発現レベルでの網羅的な組織化学的解析を行い、栄養代謝を中心としたMuller細胞の機能形態学的な性質を明らかにする。具体的には、以下の3項目である。1. 脂肪酸β- 酸化系の存在 : Muller細胞における脂肪酸β- 酸化系の存在を確立する。2. 脂肪酸β- 酸化系の特徴 : 存在する脂肪酸β-酸化系は、基質特異性、薬剤に対する反応性、ケトン体代謝との関連において肝細胞などの非神経組織とどのように異なるかを明らかにする。 3. 疾患との関連 : 実験的糖尿病および実験的な発現阻害における脂肪酸代謝の変化を示す。 成果 : 本年度は上記に1ついて行い、ミトコンドリア脂肪酸β-酸化系の全酵素がMuller細胞に局在していることを確証した。来年度はペルオキシゾームについて解析を進め、さらに上記目的2と3を行う予定である。 平成20年度に得られた結果 : ミトコンドリアの脂肪酸β-酸化系酵素に特異的な抗体を用いてMuller細胞における脂肪酸β-酸化系酵素の局在を調べた。ウエスタンブロット法とDNAマイクロアレイ法により、ミトコンドリア脂肪酸β- 酸化系酵素が網膜に存在していることが確かめられ、その量は肝臓のおよそ10分の1程度であった。光学顕微鏡レベルの免疫組織化学によりそれら全ての酵素がMuller細胞に局在しており、神経細胞には局在しないことが確かめられた。電子顕微鏡レベルの免疫組織化学では、それらの酵素の局在がMuller細胞の特にミトコンドリアにあることが確証された(論文投稿中)。なお、酵素局在の高感度観察のために新規電顕観察法を開発した(発表論文の1件目)。 意義 : 脂肪酸β-酸化系酵素の一部の先天的欠損の児において網膜色素変性症が報告されている。本研究結果は、網膜色素変性症の発症機構解明に役立つ。
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