2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791287
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
平見 恭彦 Foundation for Biomedical Research and Innovation, 先端医療センター眼科, 副医長 (00462721)
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Keywords | 人工多能性幹細胞 / 網膜視細胞 / 網膜色素上皮 / 分化誘導 / 細胞生物学 / 再生医療 |
Research Abstract |
人工多能性幹(iPS)細胞を用いて網膜細胞の分化誘導を試みるという目的に対して、ES細胞からの網膜細胞の分化誘導に用いた方法を応用して分化誘導を行った。ヒトiPS細胞からの分化誘導は、未分化iPS細胞をフィーダー細胞と分離して無血清培地にWntおよびNodalシグナルの阻害薬を加えた中で浮遊培養を20日間行った後接着培養を行うと、約40日目に神経網膜の前駆細胞のマーカーであるRxとPax6陽性の細胞および網膜色素上皮の前駆細胞のマーカーであるMitfとPax6陽性の細胞を出現し、さらに分化開始後約60日目には色素を有する多角形の網膜色素上皮様の細胞が出現する。分化開始90日目には視細胞の前駆細胞のマーカーであるCrx陽性の細胞が出現し、その後から培地にレチノイン酸およびタウリンを添加することにより、120日目には視細胞のマーカーであるリカバリンとロドプシン陽性の細胞が出現する。一方で複数の未分化iPS細胞株から同じ方法を用いて分化誘導を行った結果から、ips細胞株によって分化誘導の効率が異なることも確認した。使用した未分化ips細胞株はレトロウィルスによって3遺伝子(OCT3/4,SOX2,KLF4)あるいは4遺伝子(OCT3/4,SOX2,KLF4,c-MYC)を導入して作製されたものであったが、導入された遺伝子の違いによる分化誘導の効率の差は見られなかった。iPS細胞からの網膜細胞の分化誘導については分化誘導の効率の改善も課題であるが、細胞株ごとの分化効率にも差があるため、患者の自己細胞を用いた細胞治療の臨床応用に向けては同一患者から作製した細胞株間での差異も検討する必要があることが示唆された。
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