2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791293
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
羽藤 晋 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 視覚研究部, 研究員 (70327542)
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Keywords | 細胞・組織 / 生理学 / 薬剤反応性 / 薬理学 / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
角膜内皮は角膜の最後面に位置する一層の細胞層であり,ポンプ機能とバリア機能により角膜実質の含水率を制御し,角膜の透明性を維持している。角膜内皮細胞はヒトでは生後は再生能力がなく,細胞数の減少が進行すると内皮機能不全となり,水庖性角膜症により視力低下を来す。平成21年度の段階で、Ussing chamberを用いた角膜内皮ポンプ機能の測定とNa-K ATPase酵素活性の測定を行い、デキサメサゾン,インスリンおよびPhorbol dibutyrateがマウス角膜内皮細胞のNa-KATPase活性を上昇させることが確認された。さらにその機序として、Phorbol dibutyrateは、protein kinase C (PKC)を活性化し、さらにprotein phosphatase 1及び2Aを介して、Na-K ATPaseを脱リン酸化させることにより角膜内皮ポンプ機能を増加させる機序が確認できた。Western blot法と免疫染色法を用いた解析により、インスリンによるNa-K ATPase活性化は、このPKC活性化経路を介していることが明らかとなった。 本研究の成果は,角膜内皮機能におけるステロイドやインスリンシグナルの重要性を明らかにし、糖尿病や細胞老化による角膜内皮機能への影響を明らかにしたものである。この成果は、角膜移植手術によらない角膜内皮機能不全の治療法として、薬理学的に角膜内皮のNa-K ATPase活性を上昇させる薬物療法の開発や、角膜内皮機能低下の予防法の開発につながることになる。薬物療法や予防学的治療により,内皮機能不全の症例が治療できるようになり,手術を回避できればその医学的,社会的意義は大きい。本邦では角膜移植のための提供眼が常に不足している状態であり,角膜移植手術によらない内皮機能不全の治療法の確立は特に本邦では意義が高いと考えられる。
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Research Products
(7 results)