2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wilms腫瘍に対するWT1遺伝子のサイレンシングによる分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
20791299
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高間 勇一 Osaka University, 医学部・附属病院, 医員 (50467560)
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Keywords | Wilms腫瘍 / WT1遺伝子 / siRNA / 分化誘導 |
Research Abstract |
(1) まずWT1遺伝子の抑制実験を行う前に、まず代表的な小児悪性腫瘍におけるWT1遺伝子の発現を検討した。過去に種々の小児腫瘍の凍結検体からtotal RNAを抽出し、Real time RT-PCR法によりWT1 mRNAを測定し、internal markerとしてβ-actinを用いて定量した。その結果WT1発現亢進例は神経芽腫で18例中7例に見られ、小児腎腫瘍では腎芽腫10例中8例、腎ラブドイド腫瘍3例中2例に高発現していた。横紋筋肉腫(6例)、肝芽腫(5例)、腎明細胞肉腫(3例)でも発現を検討したが、発現は見られるものの神経芽腫や腎芽腫にくらべる発現レベルは低かった。また、これらWT1遺伝子が高発現の腫瘍に置いて、WT1遺伝子産物に対する抗体を用いて免疫組織染色を行ったところ、検討した腫瘍ではいずれも陽性に染色され、WT1蛋白が確かに増加していることが確認された。これらの検討より、小児腫瘍では神経芽腫と腎腫瘍がWT1遺伝子抑制実験の対象となりうることが示唆された。 (2) 次に、WT1遺伝子発現の抑制実験を行うべく、小児腎腫瘍の細胞株樹立を試みた。しかし、腎芽腫の細胞株は樹立できず、市販されているものの入手も困難であった。しかし、極めて悪性度の高い小児腎腫瘍である、腎ラブドイド腫瘍(RTK)の細胞株を入手することができ、現在継代培養を行い、種々の遺伝子の発現を検索している。また、神経芽腫の細胞株も準備している。来年度以降は、これらRTKおよび神経芽腫の細胞株を用いて、WT1遺伝子の抑制を行い、腫瘍増殖やapoptosisに対する影響を検討する予定である。
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