2008 Fiscal Year Annual Research Report
Gja1ノックアウトマウスを用いた低形成肺発生機序の解明に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
20791300
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 公二 Kyushu University, 大学病院, 医員 (20419568)
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Keywords | Gja-1 / connexin43 / gap junction / 低形成肺 / 肺発達 |
Research Abstract |
【内容】Connexin43(Cx43)は、Gap junctionを構成する膜貫通蛋白の一構成蛋白である。Cx43は細胞内のホメオスタシスの維持のみならず、近年の報告では、心や骨などの臓器の発達・成熟過程における形態形成や、細胞増殖・分化に関与しているとの報告がある。実際、Cx43ノックアウトマウスは、出生後数時間以内にチアノーゼを呈し、死亡する。今回、我々は、Cx43ノックアウトマウスの新生仔肺の肺成熟に関して、非ノックアウト群との比較検討を行ったので報告する。 【方法】成獣Cx43ヘテロマウスを交配した。出生直後の新生仔マウスの尾を用いてタイピングし、ホモ、ヘテロ、ノックアウトの3群に分けた。仔マウス肺を摘出し、右肺からmRNAを採取し、左肺は、4%パラホルムアルデヒドで固定した。Surfactant protein-C(Sp-C), aquaporin-5(AQP-5), alpha-smooth muscle actin(α-SMA)のmRNA発現をRT-PCRにて検討するとともに、同マーカーについて免疫染色を行った。同時にヘマトキシリンエオジン(HE)染色も行った。 【結果】HE染色の結果、ノックアウトマウス肺では、他の2群と比較して、肺胞中隔の肥厚および末梢側肺胞腔の狭小化を認め、分泌腺様構造を呈していた。また、RT-PCRの結果、Sp-C, AQP-5, α-SMAのmRNA発現は他の2群と比較して低下していた。免疫染色に関しても、ノックアウトマウス群では他の2群と比べsp-c, AQP-5, α-SMA陽性細胞は少なかった。 【意義および重要性】今回の実験結果から、Cx43ノックアウトマウスの新生仔肺は、肺発生期の偽腺状期からから管状期初期の構造を呈しており、2型肺胞上皮細胞や1型肺胞上皮細胞、気管・血管における平滑筋細胞の細胞分化が、他の2群と比較して遅延しているものと考えられた。Cx43ノックアウトマウスは新たな低形成肺モデルと考えられ、更なる解析を行う事で、低形成肺治療に関する新たな知見が得られる可能性があるものと考えられた。
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