2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫におけるSNPアレイを用いた全遺伝子解析に基づく生物学的多様性解析
Project/Area Number |
20791301
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗崎 良太 Kyushu University, 大学病院, 医員 (10403990)
|
Keywords | 神経芽腫 / マイクロダイゼクション / SNP array / heterogeniety |
Research Abstract |
【目的】神経芽腫において、同一腫瘍内のheterogenietyや染色体レベルでのMYCNの微量な変化が予後に影響を与えていると考え、マイクロダイゼクション(LCM)とSNP arrayを用いて神経芽腫におけるMYCN遺伝子の微細な遺伝子量変化を検討した。 【方法】神経芽腫63例の凍結組織片からDNAを抽出しサザンブロット(SB)法とQ-PCRでMYCN増幅判定を行った。SB法は2copy以上、Q-PCRは1.84以上を微量増加、5.00以上を増幅と定義した。また、全63例についてパラフィンブロックからLCMを用いて細胞集塊を採取し、Q-PCRでMYCN増幅を判定した。FISHは23例に行い、MYCN非増幅、MYCN gain、MYCN増幅を判定した。SNP arrayは凍結組織片から抽出したUNAをHuman CMV370-Duo (Illumina)にて解析した。 【結果】SB法で1copyの54症例中12例はQ-PCR法でMYCNの微量増加と判定された。この微量増加を示した12例のうち11例をSNP arrayで解析し、2pの状態からMYCN領域のみ増幅している「MYCN増幅群」、distal 2pが全体的にgainしている「2p gain群」、変化のない「非変化群」の3群に分類した。11例のうち2例は「MYCN増幅群」と判定され、うち1例は中心部が壊死した症例で、LCMを用いて腫瘍細胞のみを採取するとMYCNの増幅を示し、FISHではMYCN増輻細胞を認めた。残る1例については、LCMの解析は正常で、FISHは行わなかった。2例とも腫瘍死していた。11例中4例は「2p gain群」と判定され、うち1例はLCMで採取した全細胞集塊でMYCN微量増加を認め、FISHで全ての細胞がMYCN gainであった。他の1例では、LCMで採取した細胞集塊の1か所のみMYCN微量増加を認め、FISHで15%の細胞がMYCN gain細胞であった。残りの2例はLCMの解析は正常で、FISHは行わなかった。この4例中1例生存していた。11例中5例は「非変化群」と判定され、LCMやFISHの解析は正常であった。この5例は全例生存していた。 【結論】Q-PCR法でMYCN微量増加を示す症例には、MYCN増幅細胞を少数認める症例や、FISHでMYCN gainの細胞と認識される2p gainの症例を認めた。今後、LCMやSNP array解析を用いてより正確なMYCN増幅の判定が必要と考えられた。
|