2009 Fiscal Year Annual Research Report
眼窩および上下顎の骨格成長における涙腺神経切断の影響に関する研究
Project/Area Number |
20791304
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤田 研也 Shinshu University, 医学部附属病院, 講師 (00447781)
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Keywords | 涙腺神経 / ラット / 三叉神経中脳路核 / 青斑核 |
Research Abstract |
出生直後の新生児ラット(生後1日:P1)の涙腺神経を剖出し、両側あるいは片側の涙腺神経の神経切除(約1.5mm)を行Iい、その後の顎骨、顔面骨の成長を観察する計画であったが、新生児ラットの涙腺神経は無髄神経であり、剖出が手技的に不可能であったため、その実験系を断念した。 そこで、ラットの涙腺神経の神経支配がいまだに明確にされていないことに着目し、この涙腺神経におけるトレーサーによる神経支配領域に関する研究を行うこととした。 方法 Wistar系ラットにおいて、片側涙腺神経の最内側枝を切断して、そこから神経トレーサーであるフルオロゴールドを導入し、48時間の生存期間の後、脳を摘出し、顕微鏡で脳幹を観察した。側頭筋へのトレーサー流出を防ぐために、同側の側頭筋は上半分を完全切除した。凍結切片を脳の水平断で40μmで作成し蛍光顕微鏡を用いて観察した。さらにthyrosine hydroxylase染色を行い、青斑核との位置関係を観察した。 結果 涙腺神経最内側枝から注入されたフルオロゴールドで標識された細胞が、ラット脳幹の中脳、橋において観察された。これは三叉神経中脳路核であると考えられた。 また橋においては青斑核と隣接した部分に標識された細胞がみられた。 考察 涙腺神経から固有感覚を司る三叉神経中脳路核への連続性が確認された。過去の報告では涙腺分泌にかかわるとされているものがあるが、我々は開瞼、閉瞼における固有感覚枝が涙腺神経ないに存在すると考えている。 覚醒の中枢である青斑核近傍に認められたことから、開瞼と覚醒の関連性を示唆していると考えられた。
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