2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791307
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊原 俊介 Kobe University, 医学研究科, 特命助教 (50444592)
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Keywords | 創傷治癒 / 浸出液 / 浸出液コントロール |
Research Abstract |
現在のところ、急性創傷と慢性創傷の概念は抽象的で明確な定義がない。近年、これら創傷の滲出液に注目した生化学的解析が行われ始めている。創傷での滲出液中にはアルブミンやIgGを始めとし、Matrix metalloproteinases(MMPs)など様々なタンパク質が含まれる。急性創傷と慢性創傷とではこれらタンパク質の量・組成が異なっているとされており、そのバランスが創の状態を左右する。近年、創傷治癒過程における細胞外マトリクスの形成と破壊とのバランスが創傷管理に重要なことが明らかとされ、更にはこの過程にMMPなどが大きく関与することが示唆され始めた。したがって、慢性創傷の治療に際し、滲出液コントロールとはタンパク質コントロールと相同とも考えられる。 1. 創部滲出液中に含まれるタンパク質の生化学的解析 被験者の創部に粘着剤付きフィルムを貼付し滲出液を回収する。得られた滲出液中に含まれるタンパク質を分光光度計により定量した後、二次元電気泳動による展開を行った。一次元目にはpH3-10のレンジ幅のゲルを用い、網羅的解析を試みている。含まれるタンパク質の大半はアルブミンおよびIgGであり、解析を行うにあたりこれらの除去の必要性が示唆された。現在、吸着カラム法により精製を試みている。 2. 新しい滲出液コントロールの試み 一日に複数回のガーゼ交換を必要とする多量の滲出液を認める慢性創傷患者を対象とした。創部の洗浄後、ガーゼを薄く創部にあて、経鼻酸素投与用カニューレを加工したものをガーゼに充填し、更にその上からガーゼで被覆する。フィルム等で閉鎖は行わない。カニューレより1~3L/分の流量で持続的に送気を行った。持続送気を行うことでガーゼに吸収された滲出液中の水分の蒸散を促進することができ、ガーゼ交換の頻度が減少した。本方法が原因と考えられる感染症例はなく、良好なwound bed preparationを行えた。
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Research Products
(1 results)