2010 Fiscal Year Annual Research Report
AV shunt LOOPにおける乱流と血栓形成に関する実験的研究
Project/Area Number |
20791309
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
木暮 鉄邦 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40437695)
|
Keywords | 外科 / 生体機能利用 / 循環器・高血圧 / 細胞・組織 / 生体物理 |
Research Abstract |
再建外科において組織移植による再建が主流で、組織は恵与部の動静脈と吻合して生着する。しかし恵与部に適当な血管がなかった場合、遠位の血管に移植静脈を介して吻合する。この簡便な手技としてpreliminary AV shunt loopがあり、多くの施設で行われてきた。一方で乱流による血栓形成の危険性が指摘されているが実証されていない。preliminary AV shunt loopモデルを作成し、AV shunt loopによって生じる乱流と血栓形成の関連性について実験を行った。 ヘパリン投与・非投与群に分け血液粘度・血流速度を計測、同時にloopをホルマリン固定し組織学的にも検討を行った。 Loopの開存率はヘパリン投与・非投与群を比べるとヘパリン投与群の開存率が高かった。このことからヘパリン投与が開存率を向上させたと考えられる。乱流発生を示すレイノルズ係数はヘパリン投与・非投与群で大きな差はなかったが、早期閉塞群・開存群で比較するとレイノルズ係数に差が出、早期閉塞群で乱流が発生していることが分かった。 組織学的検討を行うと早期閉塞群では白色血栓が、開存群では赤色血栓が主に見られた。特に開存群ではloop頂点、しかもloopの外側に赤色血栓が多く存在した。また血管壁の肥厚・変性も認められた。その原因は乱流による血管内膜障害と考えられた。 以上の結果からpreliminary AV shunt loopは乱流発生による血栓形成が高い確率で発生すると考えられる。
|