2008 Fiscal Year Annual Research Report
同種間複合組織移植における組織虚血と拒絶反応の関係
Project/Area Number |
20791311
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
清水 史明 Oita University, 医学部, 助教 (50347027)
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Keywords | 虚血時間 / 虚血再潅流障害 / 同種異系間複合組織移植 |
Research Abstract |
20年度の検討では、低量の免疫抑制剤を投与したラットをモデルにして遊離鼠径皮弁移植を用いて同種異系間複合組織移植を行い、移植組織の虚血時間が長い場合と短い場合とで拒絶反応の強さに差が出るかどうか検討した。その結果、肉眼的観察および病理組織学的観察においては、移植組織の虚血時間が長かった場合に有意差を持って拒絶反応が強く現れることがわかった。さらにin vitroの検討としてリンパ球混合試験を行った。こちらの観察でも長時間虚血組織を移植された宿主において移植抗原に対するT細胞活性が強く出現することがわかった。また移植組織のMHC class II抗原の免疫染色を行った。この検討では長時間虚血の組織において有意差を持ってMHC class II抗原の強い発現が観察された。長時間虚血によりMHC class II抗原の発現が増強し、これが拒絶反応を強めている可能性が示唆された。 これまで、臓器移植のモデルにて虚血再潅流障害が拒絶反応に与える影響は多く研究されていたが、いまだ不明な点が多かった。今回の検討によって虚血後再潅流障害が拒絶反応を増強していることが分かった。遊離皮弁を用いてこの検討を行った報告はなく、これは体表から観察が容易であるため、拒絶反応の変化を観察する上で、今回我々が用いたラットの移植モデルは非常に有用であると思われた。 これらのモデルをつかい拒絶反応の原因究明や、虚血再潅流障害などの拒絶反応増強因子を解明していくことで、臨床現場で多く行われているヒトからヒトへの臓器移植の成功率を高めることに貢献できると思われた。
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