2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791317
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
尾崎 峰 Kyorin University, 医学部, 助教 (60372926)
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Keywords | 下顎関節突起骨折 / ボツリヌストキシン / 骨延長器 |
Research Abstract |
平成20年度の報告書に示したように家兎の下顎関節突起骨折のモデル作成は困難であり、下顎枝(下顎角部)の骨切りを行い関節突起骨折に類似したものをモデルとした。骨延長器の装着は頬骨弓部と骨切り線より尾側の下顎体部との間で行った。ボツリヌストキシンを内側・外側翼突筋に注入して、その変化を観測した。 ボツリヌストキシンの投与量は筋体量から1単位程度と考えられたが、注入筋の正確な同定が困難であることから、周囲筋全体に効果が出現するように片側5単位と過量に投与した。当初予定していた針筋電図の利用であるが、安定した計測が得られず断念した。 骨片の計測は、レントゲンを利用しての計測は偏位が小さいため困難であると判断し、主に再度開創して骨片の状態を肉眼で確認した。 ボツリヌストキシンの投与による家兎の全身的影響は認めず、局所的に作用するものと考えられた。骨片の変化の結果であるが、ボツリヌストキシン投与の有無に関わらず、有用な所見は肉眼的に得ることができなかった。骨切りした骨片が元々大きな転位を得ることができず、また関節突起(顎関節部)が家兎の場合、非常に小さいことが当該実験を困難にしていたと考えられた。 結論として、家兎での関節突起の観察は肉眼的に非常に困難であり、より大きな関節突起を用いて観察する必要があると考えられた。またボツリヌストキシン自体の安全性は高いとも判断された。 そこで臨床実験に応用する方針とした。院内の治験審査に通し、人の下顎関節突起骨折におけるボツリヌストキシンの作用を検討する予定である。
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