2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791318
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木下 幹雄 Kyorin University, 医学部, 助教 (50422308)
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Keywords | 脂肪幹細胞移植 / 血管新生 / 脂肪幹細胞培養 |
Research Abstract |
再生医療においては、幹細胞を組織内へ直接局在注射し、生着を図るものが多いが、現在のところ移植する母床の研究はほとんど行われていない。組織への脂肪幹細胞移植が局在の血管新生を促し、血流を改善する可能性は以前より示唆されている。そのため、様々な循環不全のモデルを作成し、自家培養脂肪幹細胞を移植して、いかなる条件で最も効果的に作用するかを検証した。 H20年度の研究においては、移植する母床のモデルとしてマウスの背部にskin chamberの作成を試みた。具体的にはマウスの背部に筋膜状の皮弁を挙上し、周囲に枠組みを固定した。このskin chamberは皮弁内を走行する血管を直接観察できる点で有用であり、皮弁に幹細胞を移植することにより血管新生の相違や血流の評価などを可視化することが可能となると考えられた。 H21年度の研究においてはウィスターラットからの脂肪採取および脂肪幹細胞の抽出、ならびに幹細胞の培養の標準化を行った。ラットの両側鼡径部から脂肪組織の採取を行い、剪刀を用いて小片に裁断する。コラゲナーゼを約30分間反応させた後遠心分離を行い、沈殿成分より脂肪幹細胞を採取する。採取した、脂肪幹細胞はDMEM培地を用いて2週間培養を行うことにより300万~500万この脂肪幹細胞を得る。 次に培養した脂肪幹細胞を元の個体へ戻した際に、移植細胞が局所へとどまるかを確認するため、事前に免疫染色を行った脂肪幹細胞を背部へ注入し、1週間後に組織を採取して蛍光顕微鏡下に確認を行った。その結果、大部分の細胞が注入した局所へ定着していることが確認された。 循環不全のモデルとしては、右腰部からの一本の皮下動静脈のみを茎とした有茎皮弁を背部全体の広さで挙上した。通常、このモデルでは茎より半径cm程度の葉にのみが生着するが、皮弁内へ脂肪幹細胞移植を行ったマウスでは皮弁生着範囲が明らかに拡大した。つまり脂肪幹細胞が循環不全を改善し皮弁生着範囲を拡大させることが確認された。
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