2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内感覚受容器における小胞性アミノ酸輸送体の局在とその機能
Project/Area Number |
20791333
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本間 志保 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 講師 (40372627)
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Keywords | VGLUT / 口腔感覚 / 三叉神経 / 免疫組織化学 / 自由神経終末 / 機械受容器 |
Research Abstract |
小胞性グルタミン酸輸送体(VGLUT)は、興奮性神経伝達物質のひとつであるグルタミン酸をシナプス小胞内へ輸送し貯留する働きをもつ。しかし、近年シナプスの存在しない部位においてもVGLUTの存在が明らかとなり、その機能に関して注目が集まっている。今年度の研究目的は三叉神経の支配領域である口腔感覚の末梢感覚受容器ならびにそれらの細胞体が存在する三叉神経節、三叉神経核群におけるVGLUTの局在を明らかにすることである。免疫組織化学的手法を用いた実験により、歯髄・歯肉の自由神経終末においてもVGLUTの存在が確認された。また歯根膜ルフィニ神経終末や口蓋粘膜内のメルケル終末様構造を示す機械受容器においてもVGLUTの存在が確認された。これらのことより、シナプスを有しない末梢感覚受容器においてグルタミン酸シグナルが感覚受容に関与する可能性が示唆された。また三叉神経節ならびに三叉神経核群の細胞体におけるVGLUTの局在を調べる実験においては、グルタミン酸作動性である感覚ニューロンのみならず、コリン作動性の運動ニューロンの細胞体でVGLUTの存在が明らかとなった。VGLUTには現在のところ3つのサブタイプが明らかとなっているが、サブタイプによって発現する部位が異なることも免疫組織化学的実験によって明らかとなった。運動ニューロンではVGLUT3のみが発現していた。このことはある種のVGLUTがシナプス小胞へのグルタミン酸輸送以外の働きをあわせもつ可能性を示しており、今後の神経伝達機構の解明において重要となる知見である。
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