2009 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸・ピロリン酸代謝による骨・セメント質形成機序の解明
Project/Area Number |
20791335
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 講師 (70335660)
|
Keywords | リン酸 / ヒロリン酸 / セメント芽細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
リン酸・ヒロリン酸代謝に関連するPC-1あるいはANK遺伝子に異常を有するマウスの歯周組織では、セメント質と骨形成における硬組織形成が異なることから、セメント質と骨の形成機構ではリン酸・ヒロリン酸代謝による石灰化調節機序が具なると考え、平成21年度中の本研究では、セメント芽細胞株、骨芽細胞株においてリン酸・ヒロリン酸代謝を変化させると、遺伝子発現にどのような変化がもたらされるかを検討した。 セメント芽細胞株と骨芽細胞株に種々の濃度のリン酸を添加して生体内でのリン酸・ヒロリン酸代謝異常状態を再現し、48時間後にRNA抽出を行いリアルタイムPCR法により定量的なRNA発現の検索を行うと、添加したリン酸の濃度依存的にオステオホンチン、Dentin matrix protein 1の発現が上昇することが観察された。両者の細胞株でリン酸濃度を一定にし、経時的な遺伝子変化の検索を行うと、時間経過につれ、リン酸添加による遺伝子発現がより上昇し、コントロール群とリン酸添加群との差がより大きくなっていく傾向を示していた。 その他の石灰化関連遺伝子として、オステオカルシンの発現検索を行ったところ、セメント芽細胞株では、リン酸添加により発現が低下していたのに対して、骨芽細胞株ではリン酸添加による遺伝子発現の変化が観察されなかった。 平成21年度の研究実績より、セメント芽細胞株と骨芽細胞株において、リン酸添加により同じ変化を示す遺伝子と異なる変化を示す遺伝子が存在することが明らかとなった。リン酸・ヒロリン酸代謝異常へのセメント質と骨の形成機構での反応性の違いは、遺伝子発現変化の違いによりもたらされており可能性が示唆されたことが、本年度の研究実績において重要であった。
|
Research Products
(1 results)