2009 Fiscal Year Annual Research Report
SUMO化修飾の調節による歯根膜細胞から骨芽細胞への分化制御
Project/Area Number |
20791348
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
雪田 聡 Matsumoto Dental University, 歯学部, 助教 (80401214)
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Keywords | SUMO化修飾 / 骨芽細胞分化 / 再生医療 / BMPシグナル |
Research Abstract |
SUMO化調節とはユビキチンに類似したタンパク質翻訳後修飾であり、転写因子など様々なタンパク質がSUMO化調節を受けることでその機能が調節されることが分かってきている。本研究では、SUMO化修飾が骨形成に与える影響を調査し、この修飾を調節することで骨芽細胞への分化制御を目標としている。 平成20年度の本課題の成果から、マウス筋芽細胞由来および骨髄間質細胞の培養細胞株において、SUMO化修飾に必須の酵素であるUBC9をノックダウンしてSUMO化修飾を阻害すると、BMP2およびWnt3a添加による骨芽細胞分化が促進されることが明らかになった。 本年度はマウス筋芽細胞由来の培養細胞株C2C12を骨芽細胞分化のモデルとして用い、骨芽細胞分化にSUMO化修飾が担う役割について解析を行った。レポーターアッセイの結果より、SUMO化修飾の阻害はBMPシグナルの伝達を促進させていることが明らかとなった。一方でSUMO化修飾の阻害はBMPシグナルの伝達因子であるSmad1/5/8のリン酸化および転写因子Smad4の安定性には大きな影響を与えないことも判明した。Smad4はSUMO化修飾の標的となることが知られている。そこでSUMO化修飾を受けないSmad4の変異体を作成し、C2C12細胞に過剰発現させ、レポーターアッセイを行った。その結果、SUMO化修飾を受けないSmad4の変異体はBMPシグナルの伝達を促進させることが分かった。 以上の結果から、SUMO化修飾はSmad4の転写活性を抑制的に調節することで適正なBMPシグナルの伝達に関与し、骨芽細胞分化を制御していることが示唆された。SUMO化修飾を介した骨芽細胞分化の制御は新規の知見であり、今後さらにその調節機構を詳細に解明することにより、骨芽細胞分化の制御を可能にし、新しい骨再生治療法の開発に応用できることを期待している。
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