2008 Fiscal Year Annual Research Report
早産・低体重児出産と歯周病の連関メカニズムの解析とその制御
Project/Area Number |
20791354
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀧井 良祐 Yamaguchi University, 大学院・医学研究科, 助教 (00419558)
|
Keywords | 早産 / 低体重児 / 歯周病 / ジンジパイン / ストレス |
Research Abstract |
本研究は、歯周病の最重要病原菌と考えられているジンジバリス菌の感染と早産・低体重児出産に対する関連性を明らかにし、その分子機構を解明することにある。我々は、まず歯周病モデルマウスとして、ジンジバリス菌感染モデルマウスを確立し、いくつかの興味深い知見を得ることができた。まず、妊娠マウスにジンジバリス菌を感染させると、2×10^7CFU以上では、仔の著しい体重の減少と早期出産を引き起こす。しかし、ジンジパイン欠損株では、1×10^9CFUの菌を母体に注射しても、早産を引き起こすことはなかった。そこで、ジンジパインの早産・低体重児出産への強い関与が示唆されたので、ジンジパイン阻害剤による早産・低体重児出産の抑制を検討した。マウスに菌投与時に、Rgp、Kgpの阻害剤の単独及び併用効果にて、検討を行った結果、Rgp阻害剤投与によって、ジンジバリス菌による早産低体重児出産に対し大きな改善が認められた。また、RgpおよびKgp阻害剤の併用では、Rgp阻害剤単独に比較し、さらに強い阻害効果を示した。次に、重度の歯周病患者をターゲットとした薬剤の阻害効果を調べる目的で、ジンジバリス菌投与後の、RgpおよびKgp阻害剤投与による早産・低体重児出産の抑制を検討した。その結果、菌投与6時間後に阻害剤投与を行ったが、抑制効果はほとんど見られなかった。これらのことから、ジンジパイン阻害剤は歯周病による早産低体重児出産の抑制に効果があることが示された。しかし、重度の歯周病患者には、その効果は乏しく、やはり日常のプラークコントロールが重要であることが改めて示された。
|