2009 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素によるインターフェロン・ガンマー誘導性遺伝子の転写抑制機構の解析
Project/Area Number |
20791360
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
廣井 美紀 Meikai University, 歯学部, 助教 (30419717)
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Keywords | ケモカイン / 低酸素 / インターフェロン / 転写 / CXCL9 / CXCL10 |
Research Abstract |
IFNγは、ヘルパー1型T細胞やNK細胞により産生される抗腫瘍性サイトカインである。IFNγはケモカインMig/CXCL9およびIP-10/CXCL10の発現を誘導することにより、CD8陽性T細胞やNK細胞の腫瘍局所への動員を促し、抗腫瘍作用を発揮することが報告されている。一方腫瘍局所では、腫瘍の増殖に見合った血管新生が伴わないため腫瘍内部は低酸素状態に陥っている。これまでに我々は腫瘍局所で見られる低酸素環境が、癌細胞におけるIFNγ誘導性遺伝子CXCL9およびCXCL10の発現を抑制することを明らかにした。さらにこの発現抑制はIFNγのシグナル伝達経路の抑制によるものではなく、コアクチベーターCBP、SRC-1やRNAポリメラーゼIIを含むプロモーター上での複合体形成(エンハンセオソーム)の阻害により起こることを明らかにした。STAT1依存的転写活性はSTAT1二量体形成および核内移行に関与するSTAT1 Tyr701のリン酸化だけでなく、STAT1 Ser727のリン酸化も関与している。そこで、転写活性に重要なSTAT1 Ser727のリン酸化が低酸素によるCXCL9およびCXCL10遺伝子の発現抑制に関与するかについて検討するために、STAT1野生型およびSTAT1 Ser727Glu変異体を有するウィルスベクターを作製し解析を行った結果、Ser727のリン酸化は関与していない可能性が示唆された。 次に考えられる発現抑制メカニズムとして、エンハンソーム形成阻害へのアセチル化、脱アセチル化およびメチル化修飾などのエピジェネティックな制御の関与がある。そこでHDAC抑制剤であるトリコスタチンAを用いてリアルタイムPCR法により検討した結果、アセチル化修飾の関与は少ない可能性が明らかとなった.現在、メチル化修飾の関与について検討存行っている.
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