2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の病態進展に関わる日内リズムの分子機構の確立
Project/Area Number |
20791368
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (60400131)
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Keywords | 口腔癌 / 概日リズム / 時計遺伝子 / 分子生物学 / 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
口腔癌細胞における内在性の時計遺伝子DEC2の発現をmRNAおよびタンパク質レベルで確認した。その結果、mRNAおよびタンパク質レベルともにDEC2発現は有意に検出された。口腔癌細胞でDEC2はタンパク質レベルで概日リズムを形成した。分子生物学的手法により、口腔癌の発育進展におけるDEC2の機能を解析するため、口腔癌細胞にDEC2遺伝子の発現制御をsiRNAにより行った。DEC2siRNA導入した細胞は腫瘍血管新生を制御するVEGF、細胞増殖を制御するc-Myc、細胞接着に関与するE-cadherinなどの発現変動が見られた。この結果より、DEC2が口腔癌細胞で概日リズムの形成のみならず、癌の発育進展にも影響を及ぼし、口腔癌細胞における新たな分子標的となりうることが示された。また、癌の抗癌剤耐性には、腫瘍内部の低酸素状態が耐性に関わっているとされている。本研究においても、口腔癌細胞を低酸素にすると、DEC2およびVEGFの発現が亢進し、DEC2siRNA下においては、よりVEGF発現が亢進した。さらに、DEc2はVEGF発現をネガティブに制御することを示した。また、マウス腫瘍移植モデルにおいて、DEC2およびVEGFが逆位相の概日リズムを形成した。これらの研究成果からin vitroおよびin vivoともにDEC2は癌細胞で概日リズムを形成し、かつ低酸素でVEGF発現を制御することから、概日リズムと低酸素をクロストークするユニークな分子であることが示され、今後の癌の発育進展に関する研究の解明に新たな知見をもたらすと考えられる。
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Research Products
(12 results)