2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の病態進展に関わる日内リズムの分子機構の確立
Project/Area Number |
20791368
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (60400131)
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Keywords | 癌 / 概日リズム / DEC2 / アポトーシス |
Research Abstract |
乳癌および膵癌における時計遺伝子の発現意義の解析を行った。乳癌細胞株MCF-7細胞において、siRNA法によりDEC2の発現抑制を行うと、アポトーシスが誘導された。DEC2の発現抑制により、乳癌細胞に核濃縮が顕著に見られ、cleaved-PARPやcaspaseの活性化および、アポトーシス関連因子であるBax, c-Myc, Fas, Bcl-2の発現が変動した。乳癌細胞にTNF-α処理を行うと、DEC1とDEC2発現が上昇し、アポトーシスが誘導され、そのアポトーシスに対して、DEC2は抑制的に働き、DEC1が促進的に働くことも示した。DEC2の発現抑制で誘導されたアポトーシスは、DEC1の発現抑制により、解除された。以上のことから、DEC1およびDEC2はTNF-αの下流因子で、DEC1とDEC2は互いに制御しあい、アポトーシスに対して、逆の作用を有することを示した。これらの結果から、乳癌の発育進展には、DEC1とDEC2発現の相互バランスが重要であると考えられる。DEC1とDEC2が、乳癌のアポトーシスのスイッチを切り替える因子としても考えられるので、今後の乳癌の発育進展の新たな機序解明に貢献しうる。また、我々は膵癌細胞株で、PER1の発現抑制により、cleaved-PARPやcaspaseの活性化および、ミトコンドリアの膜の安定化に関与する分子の発現が変動し、アポトーシスが誘導されることも示した。膵癌症例におけるPER1タンパク質発現は、腫瘍部位で発現が高く、隣接する非腫瘍部位で発現が低下していることが明らかになった。これらの結果より、PER1は、膵癌の発育進展に重要な役割を果たしていると考えられる。以上より、時計遺伝子は概日リズム形成や癌における発育進展にも関与していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)