2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜癌におけるケラチン発現プロフィールを制御する分子機構
Project/Area Number |
20791372
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 孝憲 Niigata University, 医歯学総合病院, 医員 (00464016)
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Keywords | ケラチン / 口腔癌 / 上皮内癌 / 異型上皮 / 増殖中心 / CK13 / CK19 / Ki-67 |
Research Abstract |
口腔粘膜扁平上皮癌・上皮内癌のヒト外科材料のHE染色切片にて病理組織学的に検討し、正常上皮・異型上皮・上皮内癌・浸潤癌を区別し、さらに異型上皮を二層性異型上皮・過正角化型異型上皮・その他の異型上皮に、上皮内癌を基底細胞型・疣贅型・長脚棘細胞型・箱型棘細胞型・萎縮型・乳頭型に分類した。正常口腔粘膜上皮のケラチンプロフィールと増殖中心を確定するために、細胞分化マーカとしてケラチン分子種ならびに増殖細胞マーカとしてKi-67抗原の発現状況を免疫組織学的に検討した。その結果、CK19およびCK13がそれぞれ基底細胞、棘細胞マーカとして有用であること、ならびに口腔粘膜上皮の増殖中心が傍基底細胞層に存在することが判明した。正常上皮での発現様式をもとに境界病変を客観的に判定すると、異型上皮ではKi-67陽性(+)細胞が基底第一層へ降下かつ重層化し、CK19+の消失とCK13+の表層限局化が生じて細胞増殖を特徴とする二層性異型上皮の基本構成が確定された。浸潤癌と上皮内癌の基底細胞型・疣贅型・萎縮型・乳頭型でCK19+とCK13+の特徴的組み合わせが出現しており、角化と基底細胞への二方向性分化、すなわち<増殖細胞に扁平上皮分化>が開始した状態と解釈された。棘細胞型では、Ki-67+細胞が基底第一層に配置する<増殖帯の辺縁化>現象と、CK19+/CK13+が消失して相反的にCK17+が出現する<細胞骨格のスイッチング>現象が特徴的で、悪性転化の指標とみなされた。 ついで、過去12年間の口腔癌250症例について術後再発の経緯を詳細に検索し、再発の有無と切除断端の露出病変との関連を調査し、これまでに再発・多発例を中心とした検索が終了した。再発例の切除断端の約7割には上皮内癌以上の病変が残存していることや再発までの期間が平均30か月程度であることを確認した。多発例では、病理組織学的に主病変周囲に過正角化型異型上皮をともなっていることが多いことから、同異型上皮が悪性転化の背景として注目すべき変化であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 口唇腫瘍2009
Author(s)
小林孝憲
Organizer
第68回日本病理学会東北支部学術集会
Place of Presentation
仙台市
Year and Date
20090214-20090215
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