2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯内疾患関連菌E.faecalisの広範囲pH環境における生物学的特異性
Project/Area Number |
20791381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中條 和子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40374946)
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Keywords | 腸内細菌 / 歯内病巣 / 齲蝕病巣 / pH耐性 / 生存活性 / 菌体内pH(pHi)維持能 |
Research Abstract |
本研究代表者は、腸内細菌であり、歯内疾患関連菌でもあるEnterococcus faecalisが、広範囲pH環境に対して高い菌体内pH維持能を示すことを既に報告した。E.faecalisと同様に腸内細菌であり、近年、歯内病巣からの検出が報告されているBifidobacterium longum (Bl)、および齲蝕病巣からmutans streptococciと共に検出が多く報告されているBifidobacterium dentium (Bd)についての耐pH性については不明である。そこで本研究では、Bd、Blの耐酸性について代表的な齲蝕関連菌であるStreptococcus mutans (Sm)と比較・検討した。Bd DSM 20436、BlDSM 2705、Sm NCTC 10449のpH 5.0と7.0における増殖量、3時間にわたりpH 4.0に曝した生存率、およびpH<5.0における菌体内pH(pHi)維持能を比較した。pH5.0におけるBd、Blの増殖量は、16.7±8.2、35.6±6.1(pH 7.0=100)であり、Sm(19.4±4.6)と同等またはそれ以上であった。3時間後のBd、Blの生存率は21.9±23.6、13.7±4.5(0時間=100)を保ち、Smよりも高かった。pH<5.0におけるBd、BlのpHiは5.3-6.0、5.7-6.5を維持し、Sm(4.8-5.5)よりも優れていた。本研究によりBd、Blは、Smと同等の酸性環境における高い生存率とpHi維持能をもつことが明らかになった。このことが、酸性環境である歯内病巣、または齲蝕病巣から本菌種がmutans streptococciと共に分離される一因であると考えられる。
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Research Products
(6 results)