2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子線トモグラフィーを用いた非脱灰硬組織における超微細構造解析手法の開発
Project/Area Number |
20791384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 治郎 Osaka University, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Keywords | 硬組織 / トモグラフィー / コラーゲン |
Research Abstract |
本研究は、超高圧電子線トモグラフィー法(ET法)、集束イオンビーム(FIB)加工法を用いて非脱灰状態の歯の象牙質・エナメル質や骨といった硬組織に対するナノスケールでの三次元構造解析を行い、石灰化組織の内部構造観察や組織間の相互作用を、形態学的側面から解明する手法を確立することを目的として研究を行った。 集束イオンビームによる加工もアーティファクトが出やすいことや、チャージアップにより加工が不安定になりやすいといった欠点も当初は見られたが、試料デザインやチャージアップを防ぐ手法の工夫などで現在では加工精度も向上し数十nmの薄さの試料の作成も可能になっている。電子線トモグラフィー観察においては、非脱灰硬組織内のコラーゲン線維の分布まで捉えられるレベルに達しており、硬組織に内包された象牙細管や骨細胞と行った従来の脱灰処理後の電子顕微鏡観察では難しかった対象の観察も可能になった。今後は、電子線による損傷を減らすために凍結試料観察なども視野に入れてさらに精度を高めていこうと考えている。 硬組織の微細加工技術の進歩と観察手法の確立により、これまで一般的であった「石灰化組織の内部構造は脱灰処理して観察する」という概念を塗り替える可能性を秘めており、硬組織研究分野または歯科臨床研究において有用な技術となると考えられる。 石灰化した組織の観察だけでなく、コンポジットレジンと歯質との界面におけるハイブッリドレイヤーの三次元構造観察、やインプラント体表面と骨との界面などこれまで三次元観察手法がなかった領域に対しても応用が可能となると考えられ様々な観察を予定している。
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Research Products
(5 results)