2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791390
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
安田 善之 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 准教授 (80405670)
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Keywords | 象牙質再生 / 歯髄細胞 / アディポネクチン / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞におけるアディポネクチン受容体(AR)1,2およびアディポネクチンの遺伝子発現をRT-PCRにて調べた結果、いずれの発現も認められた。さらに、AR1のタンパク質発現をウエスタンブロット法により解析したところ、マウス心臓抽出液サンプルと同様に約40kDaの分子量を持つバンドが検出された。AR1とAR2の両者の存在が確認できたため、そのリガンドであるアディポネクチンの細胞に与える影響について検討を行った。10μg/mlアディポネクチン添加群では24時間後の細胞数は未処理のコントロール群に比べて有意に増加した。さらに7日後において幹細胞のALP活性はコントロール群に比べて有意に亢進し、さらに処理14日後のオステオカルシンの発現を増強した。石灰化結節の形成をアリザリンレッド染色後に光学顕微鏡下にて観察したところ、明らかな石灰化結節の増大がみられた。さらに、アディポネクチンの幹細胞における骨シアロタンパク質(BSP)発現への影響を検討したところ、21日後ではBSPの発現はコントロールに比べて著しく増加した.次に、ヒトアディポネクチン全長遺伝子は、ヒト脂肪細胞cDMAライブラリーよりPCR法により増幅し、大腸菌発現用ベクターにサブクローニングを行った。ヒトアディポネクチン/pET15bをBL21にトランスフォーメーションし大量培養後、Ni-Tiカラムにより組み換え型アディポネクチンの精製を試みた。今回の結果から、アディポネクチンは間葉系幹細胞の分化・石灰化を促進することがはじめて明らかとなった。また、アディポネクチンは、BSP発現を誘導することでその石灰化能を亢進する作用を持つことが分かり、積極的な硬組織形成を誘導する材料として硬組織再生医療に応用できる可能性が示唆された。
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