2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791391
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小池 俊之 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 研究員 (10458135)
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Keywords | 歯学 / Phosphophoryn / 修復象牙質 / Collagen / 直接覆髄 / 再生 |
Research Abstract |
現在、深い虫歯治療の際には歯の神経(歯髄)を保存するための材料(覆髄剤)として水酸化カルシウム製剤が広く使用されている。しかし、水酸化カルシウム製剤は安価である反面、組織刺激性が強く、治癒過程で必要とされる修復象牙質が形成されるまでに2〜3ヶ月という長い治療期間を要してしまう。しかも、その修復象牙質は多孔性で裂隙を含むことが多いことから、そこが歯髄と外界を繋ぐ感染経路となって歯髄に炎症を惹起させるなどの問題点が挙げられる。 本研究の目的は、水酸化カルシウム製剤に取って代わる新規歯髄保護材料の開発を目指し、生体親和性を有するコラーゲンと生体活性型ペプチドを用いた新規覆髄剤開発のための基礎データを動物実験によって蓄積し、解析することである。 本年度の研究では、歯の大部分を構成する象牙質に含まれ、硬組織誘導活性を有する非コラーゲン性リンタンパク質であるフォスフォフォリンをブタ抜去歯から抽出し、生体吸収性材料であるI型コラーゲンに結合させて複合体(試作覆髄剤)を作製した。 深い虫歯のモデルとして、全身麻酔を施したラットの臼歯を滅菌スチールラウンドバーにて切削することで歯髄を露出させ、そこに硬組織誘導活性を有するフォスフォフォリンーI型コラーゲン複合体を移植した。術後1〜4週で屠殺し、病理組織学的観察のためにヘマトキシリンーエオジン染色標本を作製し、修復象牙質と歯髄の分析を行った。その結果、水酸化カルシウム製剤による場合に比べて緻密で高品質な修復象牙質形成を確認し、歯髄の炎症の程度も極めて軽度であった。今後は免疫染色等により、詳細な分析を行っていく予定である。
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