2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791391
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小池 俊之 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 助手 (10458135)
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Keywords | 歯学 / Phosphophoryn / 修復象牙質 / Collagen / 直接覆髄 / 再生 |
Research Abstract |
現在、深い虫歯治療の際には歯の神経(歯髄)を保存するための材料(覆髄剤)として水酸化カルシウム製剤が広く使用されている。しかし、水酸化カルシウム製剤は安価である反面、組織刺激性が強く、治癒過程で必要とされる修復象牙質が形成されるまでに2~3ヶ月という長い治療期間を要してしまう。しかも、その修復象牙質は多孔性で裂隙を含むことが多いため、そこが感染経路となって歯髄炎を引き起こすなどの問題点が挙げられている。本研究の目的は、水酸化カルシウム製剤に取って代わる新規歯髄保護材料の開発を目指し、生体親和性を有するコラーゲンと象牙質の石灰化に重要なタンパクであるフォスフォフォリンを用いた新規覆髄剤開発のための基礎データを動物実験によって蓄積し、解析することである。 本年度の研究では、フォスフォフォリンをブタ抜去歯から抽出し、生体吸収性材料であるI型コラーゲンに結合させて複合体(試作覆髄剤)を作製した。深い虫歯のモデルとして、全身麻酔を施したラットの臼歯を滅菌スチールラウンドバーにて切削することで歯髄を露出させ、そこに硬組織誘導活性を有するフォスフォフォリン-I型コラーゲン複合体を移植した。術後1~4週で屠殺し、病理組織学的観察のためにヘマトキシリン-エオジン染色標本を作製し、修復象牙質と歯髄の分析を行った。また、走査型電子顕微鏡による修復象牙質の微細構造観察を行った。その結果、水酸化カルシウム製剤による場合に比べて緻密で高品質な修復象牙質形成を確認し、歯髄の炎症の程度も極めて軽度であった。よって、本試作覆髄剤は水酸化カルシウム製剤に代わる材料としての可能性を持つことが示唆された。
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