2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20791393
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
中 貴弘 Ohu University, 歯学部, 助教 (70433539)
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Keywords | 発生 / 形態形成 / 唾液腺(顎下腺・舌下腺) / 口腔 / 上皮間葉相互作用 / Homeobox遺伝子 / 形態学的解析 / 再生療法 |
Research Abstract |
歯胚と唾液腺は、口腔上皮由来という共通の発生由来を有する器官としてだけではなく、上皮間葉相互作用により形態形成が行われ、生体においても口腔領域の環境構築という上では密接な関連性を有している組織である。今年度は、口腔領域に属する器官の発生に対する基礎的な知見を得ることを目的として研究を計画した。その中でも、唾液腺 (顎下腺および舌下腺) の発生に着目し、歯の発生において重要な関与を示すと言われているHomeobox遺伝子の一つであるBarx遺伝子群が唾液腺の発生にどのように関与するかを検索する目的で実験を行った。具体的には、形態学的な検索法として免疫組織化学的手法を、生化学的な手法としてreal-time PCRを応用し、Barx2遺伝子がマウス胎仔顎下腺および舌下腺の発生へどのように関与しているのかを検討した。その結果、Barx2は唾液線発生の初期 (胎生11.5〜14.5日) における、上皮組織を構成する細胞の核内にのみ発現することが示され、Barx2は細胞接着因子の一つであるNCAM-L1の発現を、上皮組織の側で調節している可能性が示唆された。このことは、複雑な形態を有する唾液腺組織の形態形成機構にHomeobox遺伝子が重要な役割を果たすことが示されただけでなく、唾液線組織の形態形成機構の解明に対して重要な知見となるものと考えられる。このような基礎的な知見の積み重ねにより、唾液線組織、ひいては口腔諸組織の再生医療が実現可能になるものと考えられる。したがって、今回の研究成果は非常に意義のあるものである。
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Research Products
(2 results)