Research Abstract |
接着界面付近に生じた欠陥は, 術後疼痛あるいはレジン修復歯の長期的な予後に影響を及ぼすものと考えられている。しかし, この欠陥を正確に検出する方法は無く, 何らかの臨床的不快症状からその存在を予測しているのが現状である。そこで申請者は, 超音波測定装置のうちフェーズトアレイ法に着目し, これを歯質との接合界面における非破壊的な欠陥評価法として, 口腔内で応用するための基礎的事項について検討した。 まず, 接着界面付近の欠陥の検出に関しては, その界面付近の象牙質, ボンディング材ならびにレジンの弾性率が音響特性に影響を与えることに着目した。そのため, この音響特性を利用して超音波フェーズトアレイ法によって得られる画像処理技術からその検出を行うこととした。すなわち, ウシ下顎前歯唇側面に内径4mm, 深さ2.5mmの規格窩洞を形成した。次いで, 窩洞内面に歯面処理を行い, レジンペーストを填塞, 光照射を行った。その際, 接着界面付近に意図的に直径0.2mの欠陥を付与し, この試片に対してフェーズトアレイ探傷器(Omniscan^<MX>, RDTech)および探触子として周波数17MHzのプローブを用いてASスキャンモードによってイメージ画像を製作した。 その結果, 接着欠陥を有する試片では界面付近に約直径02mm程度の赤色の不感体の存在を示すイメージ画像が得られた。このことは, 接着システムにおいて音響インピーダンスの異なる物質が介在すると視覚的に色調の異なるイメージ像が得られるものの, 連続性が保たれている際には, 不感体は認められないことから, 接着欠陥を示すものと考えられた。従って, 本法による接着欠陥のイメージ画像化は有効であることが示唆された。
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