2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラット根管内における細菌バイオフィルムの作製、分析
Project/Area Number |
20791403
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
樋口 直也 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (10329609)
|
Keywords | バイオフィルム / Enterococcus feacalis / Pornhvromonas gingivalis / in vivo / 根管 / ラット |
Research Abstract |
初年度、early colonizerとしてEnterococcus faecalis (E.f.)、late colonizerとしてPorphyromonas gingivalis(以下P.g)を用いて、in vitroでの細菌バイオフィルムの作製を行った。抜去されたヒトの歯牙から象牙質片を作製し、培養条件を変えつつ、細菌バイオフィルムの作製を作製し、走査型顕微鏡で観察を試みた。その結果、P.g.については、成熟したバイオフィルムは確認できなかったが、培養条件としては、E.f.については、37℃、24時間の嫌気培養、P.g.については、37℃、72時間の嫌気培養、共培養については、37℃、72時間の嫌気培養が適切であると思われた。 そのため、本年はその培養条件の下、in vivoで、ラットの抜髄した根管に各細菌を感染させ、生きた動物の根管内にバイオフィルムの作製を試みた。ラットの切歯を抜髄し、細菌をそれぞれ単体で感染させた群と、両細菌を感染させた群(計3群)に分けて、接種した。仮封には接着性レジンを使用した。屠殺後、歯牙を摘出、分割を行った。4%パラホルムアルデヒドと5%グルタールアルデヒドの混合固定液で固定後、上昇エタノール系列で脱水を行い、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、いずれの根管壁においてもバイオフィルムは認められなかった。この原因としては、接種する細菌量に限界があるにもかかわらず、十分な抜髄を行うことが困難で、残存した歯髄に存在する免疫担当細胞に殺菌されてしまったことが考えられる。In vivoでは、無菌根管とはいえ、残存歯髄や根尖部歯周組織からの血液により免疫システムが機能するため、少量の細菌ではバイオフィルムは形成されず、う蝕やプラークのような細菌叢から持続的な細菌感染が必要であることが推察された。
|