2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性ガラスを用いたラット歯根端切除部の治癒機転に関する病理組織学的研究
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20791410
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
榮田 太郎 Fukuoka Dental College, 歯学部, 助教 (60425246)
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Keywords | 生体活性ガラス / 骨補填材 / 歯根端切除術 |
Research Abstract |
Henchにより骨と化学的に結合するガラスいわゆる生体活性ガラス(BAG)が1971年に発表されて以来、種々のガラスの生体活性が検討され、硬組織の代替材料として利用されてきた。そこで本研究では、ラット上顎第一大臼歯の近心根の歯根端切除部にBAGを応用することにより良好な治癒効果が期待できると考え、歯根端切除部にBAGを応用した際の治癒過程を病理組織学的に検索した。試作したBAG粒子はB-BAG(粒子径45μm)の大きい粒子とS-BAG(粒子径20μm)の小さい粒子を使用した。ハイドロキシアパタイト(HAP)では、粒子気孔径の大きさや構造によって骨伝導性が変化することが報告されていることから、特にBAG粒子の大きさや形状が骨誘導にも影響するか否かについて解析し、その治癒過程を病理組織学的、電顕的に検索することにより、以下の結論を得た。1.術後1週以降、根端切除部の断端部歯髄は修復象牙質の添加による閉鎖がみられ、根端切除部へのBAG填入による歯髄の障害的変化は認められなかった。2.根端切除部の創腔内への、B-BAG填入による治癒過程では、速やかな新生骨の形成がみられ、濃染する核を有する胞体の大きい骨芽細胞の密な配列が見られ。3.S-BAGとB-BAGの新生骨の形成状態の違いから、骨形成能はBAG粒子の大きさや、表面形状あるいは粒子間隙の大きさなどの影響を受ける可能性が窺われた。4.透過電顕による観察では、術後3周で、B-BAG周囲にはamorphousな帯状層が出現し、析出したコラーゲン線維とB-BAGとの境界部には、無数のdensityの高い顆粒状物質の出現がみられた。以上のことより、粒子径の比較的大きなB-BAGは高い骨伝導能を有する有能な生体材料であることが推察された。
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Research Products
(1 results)