2008 Fiscal Year Annual Research Report
顎口腔機能の加齢変化を骨格筋fMRIによる咀嚼筋活動様相解析から探る
Project/Area Number |
20791414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 哲史 Tohoku University, 病院, 助教 (50400263)
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Keywords | 咀嚼筋活動 / 骨格筋fMRI |
Research Abstract |
本年度は、若年有歯顎者9名を対象として、クレンチングを異なる咬合力で行った際の全咀嚼筋の活動を、mfMRIにて定量的に解析した。 左側第一大臼歯のみでのクレンチングを被験運動とし、各被験者の最大噛みしめ咬合力を100%MVC(maximum voluntary clenching)とした時の20%MVCおよび40%MVCの咬合力でクレンチングを1分間行わせた。被験運動の前後(安静時、運動直後)において運動による筋活動を測定するために頭部のT2強調MR画像を撮影した。なお、20%MVCと40%MVCのMR撮影は、筋の疲労を避けるため約1週間の間隔を空けた異なる日に行った。各被験者のMR画像の全スライス上で、全咀嚼筋の外形をトレースすることにより関心体積を設定し、各関心体積における平均T2値を算出した。その結果、咬筋では、咬合力が小さい時は作業側が主に活動し、咬合力の増加に伴い平衡側も活動が増加した。また、平衡側深層のT2値は変化が少なく、咬合力発揮の際は浅層が主に活動することが示唆された。側頭筋でも、咬合力の増加に対して作業側で著明な活動の増加が観察された。外側翼突筋では上頭の方が高い活動を示した。クレンチングにおける関節円板の制御を反映していると考えられる。内側翼突筋では、20%MVCにおいて平衡側が高い活動を示したが、40%MVCでは両側で同等の活動がみられた。咬合力が弱い場合、下顎位の姿勢維持に対して平衡側が活動し、咬合力が大きい場合は咬合力発揮のために両側の活動がみられたと考えられる。 本研究ではクレンチングによって引き起こされた咀嚼筋活動を、T2値を用いて定量化したが、このように全咀嚼筋の筋活動様相を同時に評価した報告はほとんどみられない。下顎運動時の筋活動は下顎に付着する全ての筋が複合的に活動していると考えられ、これまで筋活動の測定が困難であった体内深部の筋に対しても、mfMRIの特徴を生かした方法を用いることにより新たな見解が得られると考えられる。
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