Research Abstract |
市販硬質レジン人工歯と同じ成分の試料をメラミンフォームおよび義歯装着者が使用している可能性のある清掃材で摩耗試験を行ったときの表面粗さについて比較検討した. 人工歯試料としてエンデュラ用硬質レジン(松風)15個を使用した.この試料を,臨床で行われている方法に従い仕上げ研磨まで行った後,超深度形状測定顕微鏡(VK-8550, KEYENCE)を用いて表面粗さを測定した.清掃材には,(a)4倍圧縮メラミンフォーム(大文字),以下MEL,(b)義歯用ブラシ(ライオン),以下BRU,(c)義歯用ブラシ+義歯用歯磨剤(ポリデント泡フレッシュ,グラクソ・スミスクライン),以下POL,(d)義粛用ブラシ+義歯用歯磨剤(タフデント入れ歯の歯みがき,小林製薬),以下TAF,(e)義歯用ブラシ+歯磨剤(Aquafresh,グラクソ・スミスクライン),以下AQUを用いた.摩耗試験装置(ラビングテスターIMC-151B型,井元製作所)を使用し,荷重200g,速度1往復/秒,動作幅20mm,摩耗回数10,000ストロークで,各清掃材につき3試料の摩耗試験を行い,表面粗さを測定した.清掃材間で表面粗さを比較した結果,TAFとAQUはMEL, BRU, POLに対し,有意に大きな値を示した.MEL, BRU, POL間に有意差は認められなかったが,BRUはMELとPOLよりも大きな値を示した.また,各清掃材における摩耗試験前後の表面粗さの比較では,MELとPOLでは有意差が認められなかったが,BRU, TAF, AQUでは有意に増加した. 以上より,水のみのブラッシングでも摩耗を生じたのに対し,メラミンフォームでは摩耗の影響が認められず,硬質レジン歯の清掃にもメラミンフォームを利用できる可能性が示唆された.
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