2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞の分化およびメカニカルストレス応答性におけるAMPKの機能的役割
Project/Area Number |
20791434
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
葛西 貴行 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30457650)
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Keywords | AMPK / 骨芽細胞 / メカニカルストレス / シグナル伝達 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
メカニカルストレス(MS)は、骨組織における重要な代謝調節因子である。RUNX2を含む幾つかの転写因子が骨芽細胞の分化に必須であると報告されている一方、細胞内における分化調節に関わるシグナル伝達経路は未だ不明な点も多い。AMP-activated proteinkinase(AMPK)はαβγのヘテロ3量体から成るセリン-スレオニンキナーゼの一種であり、一般的に細胞内エネルギー恒常性や極性、分裂等の重要な調節因子として知られている。骨細胞を含むあらゆる細胞種で発現しているが、骨代謝における機能的役割については殆ど解明されていない。今回、マウス骨芽細胞株(MC3T3-E1細胞)においてAMPKβサブユニットの遺伝子発現量がLIPUS照射により著明に増加する所見が得られた。本研究の目的はMSと骨芽細胞機能におけるAMPKの役割を調べることであり、その初段階として平成20年度は骨芽細胞分化に及ぼすAMPKの影響についてin vitro分化モデルにより追究した。AMPKγサブユニットのリン酸化は、初代骨芽細胞とMC3T3-E1細胞いずれの分化においても低下が見られた。一方、骨芽細胞最終分化の指標である基質石灰化は、AMPK活性化効果を持つグルコース制限とmetformin刺激により著明に抑制された。Metforminは、オステオカルシンや骨シアロタンパク, オステオポンチン等の骨分化マーカー発現を低下させ、さらにRunx2遺伝子の発現も有意に抑制した。これらの所見より骨芽細胞の分化には、AMPK活性の低下が機能的に関連している可能性が示唆された。今後はMSとAMPK活性との関係に注目し、骨芽細胞機能に及ぼす影響を解析していく予定である。
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