2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコニアを部分床義歯のクラスプに応用するための先駆的研究
Project/Area Number |
20791435
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 真紀子 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 客員研究員 (10457658)
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Keywords | 歯科用ジルコニア / 義歯用クラスプ / 接着耐久性 / オートクレープ処理 / アルミナコーティング |
Research Abstract |
歯科用ジルコニアの義歯用クラスプへの臨床応用に際し、その成否はジルコニアとアクリルレジンとの接着耐久性に依るところが大きい。それゆえ、ジルコニアの表面改質により機械的嵌合力または化学的接着力の向上が不可欠である。本研究では(1) ジルコニア表面へのサンドブラストおよび熱処理後に134℃で5時間オートクレーブ処理を施した。表面処理後のジルコニア表層の組成変化はエックス線光電子分光分析(XPS)により確認した。(2) ジルコニア表面にアルミナコーティングを施した。また、各表面処理後の接着強度はジルコニアおよび接着性レジンセメントとのせん断接着強さを測定することにより評価した。 XPS分析よりオートクレープ処理後のジルコニア表面には水酸基の存在が明らかとなった。 また、せん断接着強さを比較するとオートクレーブ処理したジルコニアと接着性レジンセメントの接着強さはオートクレープ処理後に乾燥処理した群と比較して有意に高かった。さらに、リン酸エステルモノマーを含む接着性レジンセメントは含まないセメントと比較してせん断強さが有意に高かった。 アルミナコーティング処理を施したジルコニアと接着性レジンセメントの接着耐久性は未処理の試料と比較して有意にせん断強さが高かった。 以上の結果からオートクレープ処理によりジルコニア表層に吸着した水酸基が接着性レジンセメントのリン酸エステルモノマーと反応してジルコニアと接着性レジンセメントの接着強度の向上に寄与したものと推察される。さらに、アルミナコーティング処理も有効で接着耐久性の向上に有効であることが判明した。これらの処理法を用いて、歯科用ジルコニアの義歯用クラスプへの臨床応用の可能性が高まった。
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