2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境の変化が海馬CA1・CA3領域の細胞死に与える影響と活性酸素の関与
Project/Area Number |
20791445
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
青木 宏道 Kanagawa Dental College, 歯学部, 助教 (50350533)
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Keywords | 活性酸素 / アンモン角 / 細胞死 / 口腔環境の変化 |
Research Abstract |
海馬のアンモン角領域では様々な因子による影響で細胞死が引き起こされることが報告されている。我々は今までの研究で、口腔環境の変化が海馬歯状回での神経新生に与える影響を調べてきたが、神経新生が起こりやすい状況ばかりでなく、アンモン角での神経細胞死を減らす口腔環境を見つけることが海馬全体での神経細胞数を増やし、そのことが記憶形成の過程に関わるものと考えている。 このため本研究では、コントロール群(硬食群)と軟食群、臼歯抜歯群を用いて、細胞障害で知られる活性酸素が海馬における神経細胞死にどの程度影響を与えるのかを検証する。アルツハイマー病ではアミロイドβによって活性酸素が産生され、神経細胞死が引き起こされることが知られている。 21年度には、コントロール群と軟食群のラットを12週齢(若年期)まで飼育した後、ESR測定法を用いてMC-PROXYL投与から2分後にL-band ESR(JES-RE 3X型)にて脳のMC-PROXYLの減衰速度の測定を開始した。統計処理の結果より軟食群の摘出脳のMC-PROXYLのシグナル減衰はcontrolに対して有意差が認められた。また、コントロール群と臼歯抜歯群の老化促進マウス(SAMP8)を用いて同様の実験を行った結果では、抜歯後1ヶ月後・3ヶ月後では有意差は認められなかったが、5ヵ月後では有意差が認められた。 ラット脳内での酸化ストレスによる細胞障害を検証するため、ラット脳内のDNA酸化損傷マーカー8OHdGを用いて免疫染色を行いました。コントロール群と比較して軟食群、臼歯抜歯群では8OHdG陽性の細胞が多い傾向が認められた。 口腔環境の変化により、脳内に活性酸素がより多く産生され、その活性酸素が原因となって脳内の細胞が障害されて細胞死が起こっている可能性が推察された。
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