2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌性と生体適合性を併せ持つ歯科用チタン合金の開発
Project/Area Number |
20791458
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正敏 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50400255)
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Keywords | チタン合金 / 歯科用合金 / 抗菌性 / 生体適合性 / 耐食性 / 歯科修復物 / 歯科補綴物 / チタン銀合金 |
Research Abstract |
口腔内細菌に対する抗菌性と生体への適合性を併せ持つ歯科用チタン合金の開発を目的とし、チタン銀合金を設計、試作した。平成21年度は、口腔常在微生物であり齲蝕原性細菌のひとつであるStreptococcus sobrinusを対象とした殺菌試験とバイオフィルム形成試験を行った。チタン銀合金は、S.mutansのときと同様に、S.sobrinusに対し殺菌作用を示さなかったが、S.sobrinusによるバイオフィルム形成を抑制した。また、ISO規格による耐食性試験を行い、Ti-Ag合金はチタンと同程度の優れた耐食性を有することが分かった。これらの結果から、チタン銀合金は、常在微生物叢に影響を与えずにバイオフィルム形成を抑制する、新しいタイプの生体材料である可能性が示唆された。殺菌試験:S.sobrinusの懸濁液を板状金属片上に滴下し、フィルムにより密着した状態でインキュベートした。2時間後に試験細菌を回収し、寒天平板培養法で生菌数を求め、殺菌作用の有無を判定した。純銀と歯科用銀合金は殺菌作用を示したが、純チタンとチタン銀合金は示さなかった。バイオフィルム形成試験:板状金属片をスクロース含有複合液体培地に浸漬し、S.sobrinusを加え、嫌気培養した。12時間後に金属片を取り出し、形成されたバイオフィルム量を、分光光度計を用いて推定した。純チタン、純銀、歯科用銀合金のバイオフィルム量に有意差は認められなかったが、Ti-25%Ag合金のバイオフィルム量は、純チタンよりも有意に少なかった。耐食性試験:ISO 10271に従い、アノード分極曲線の測定を行った。Ti-30%Agは孔食を示した。Ti-25%Ag以下は電流密度の増加が見られる組成もあったが、すぐにチタンと同程度の電流密度に低下し、再不動態化した。
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