2009 Fiscal Year Annual Research Report
力学親和性および生体活性インターフェイスを有するインプラントマテリアル創製
Project/Area Number |
20791459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 祐子 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (20451528)
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Keywords | インプラント / インターフェイス / 表面改質 / オッセオインテグレーション / ハイドロキシアパタイト成膜 / MOCVD法 / 打ち抜き試験 / TNTZ |
Research Abstract |
本研究の目的は、チタン(Ti)表面に周囲生体組織の賦活化を促す性状を付与する表面改質を施すことにより、オッセオインテグレーションの早期獲得と、さらに生体力学的な適応を可能とする新規マテリアル開発を目指すものである。生体分子と金属とを結ぶ表面酸化膜の性状は、インプラント体表面における周囲組織細胞の活動に影響することがわかっており、これを任意に制御する技術が東北大学金属材料研究所複合材料学研究部門において確立されている。 本年度は、cpTiに加え、物理的性質および組成の異なる3種のTi合金(金属ガラス(BMG)、Ti-6Al-4V(Ti64)、Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ))に、有機金属錯体化学気相析出(MOCVD)法によりハイドロキシアパタイト(HA)をターゲットとしてアモルファスリン酸カルシウム(ACP)膜を成膜し、生体親和性および成膜効果を比較検討した。直径1mm、長さ2mmの試料を作成し、ラット大腿骨遠位端より8mmおよび13mmの部位に埋入し、4週および8週の飼育期間後、打ち抜き試験を行った。その結果、TNTZに成膜を施した群で最も高い骨結合強度が得られた。また、ウサギ脛骨に試料を埋入した標本で、樹脂薄切切片を作製し組織学的観察を行った結果、ACPを成膜したcpTi上で新生骨の骨伝導が優れていた。 TNTZは弾性率などの機械的性質がcpTiと比較して生体骨に近似しており、インプラント体が生体内で機能する際、インプラント体と骨との物理学的調和が期待される。今回の結果から、MOCVD法を用いたACP成膜により骨親和性にも優れることが証明され、新規インプラントマテリアルとして有望であることが示唆された。
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