2010 Fiscal Year Annual Research Report
水酸化カルシウムスラリーを用いたチタンインプラントへの骨誘導性能付与
Project/Area Number |
20791460
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
大津 直史 北見工業大学, 工学部, 講師 (10400409)
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Keywords | 歯科インプラント / 表面処理 / オッセオインテグレーション / 化学処理 |
Research Abstract |
平成22年度は、水酸化カルシウムおよびハイドロキシアパタイトと蒸留水を混練して調整したスラリー状処理剤にチタン基材を埋没させて、大気中で熱処理することで形成した生体活性皮膜を有するチタン材料に関して、(1)調整の用いるハイドロキシアパタイト粉末の形状が処理皮膜の形成に与える影響を調べた、(2)熱処理温度が皮膜の形成および密着強度に与える影響を調べた、(3)ウイスター系ラットの大腿骨内に埋入し、埋没1週および4週後に屠殺した後、材料周辺組織を光学顕微鏡で観察することで、その骨形成性能を評価した。 検討の結果、(1)皮膜を効率的に形成するためには、調整に用いる粉末の「比表面積」が重要であり、比表面積70m2/g以上のものを用いると良好な皮膜を形成することが出来る、また、この粉末で調整したスラリーで作製した試料は、擬似体液中においてリン酸カルシウムを1日以内に析出できる。(2)処理における熱処理温度を650℃以上に上昇させると、処理剤からの熱拡散が促進され、膜厚が厚い皮膜を形成することができる。しかし、膜厚が厚くなっても、擬似体液中におけるリン酸カルシウム析出性能は向上しない。また、皮膜が厚くなると密着強度は低下する。熱処理温度を500℃以下に設定すると、熱拡散が不十分となり、皮膜が形成しない。これらの実験結果から、本処理に最適な熱処理温度は、650℃であると決定した。(3)スラリー処理を施したチタン材料は、ラット大腿骨内において、処理を施していないチタン材料よりも、迅速、かつ良好に骨を形成できた。この結果より、スラリー処理により、チタンの骨形成性能を促進できることが明らかとなった。 以上の検討結果より、我々が開発したスラリーを用いた新表面処理により、医療用チタン材料に、骨形成性能を簡便付与できることが明らかとなった。
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