2008 Fiscal Year Annual Research Report
羊膜と口腔上皮細胞による培養上皮シートの開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
20791462
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小池 剛史 Shinshu University, 医学部・付属病院, 助教 (60359734)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 歯学 |
Research Abstract |
われわれの研究室で開発した無細胞ヒト乾燥羊膜を口腔上皮細胞のscaffoldとし、この基質上で口腔上皮細胞を気相下培養する事により、マウスfeeder細胞やウシ血清などの未知因子を使用すること無く、口腔粘膜上皮本来の構造である培養重層上皮シートの作製に成功した。 実験の手順は、1, 抜去歯から口腔上皮細胞を単離。2, 口腔上皮細胞を2〜3継代培養。3, ヒト乾燥羊膜上に培養口腔上皮細胞を播種し4日間液相下培養。4, 無血清培地のカルシウム濃度を上げ約3週間気相下環境にて培養。5, 組織標本による形態学的・免疫組織学的検討を行った。 口腔上皮細胞は、ヒト乾燥羊膜上で気相下培養を行っても増殖を続け、複合培養重層上皮シートのH-E染色による形態学的検討では、口腔上皮細胞がヒト乾燥羊膜でほぼ均一な約10層以上からなる重層化が認められた。また重層化に伴う核の消失は認められず、すべての層で活性のある細胞がみられた。免疫組織学的検討では、cytokeratin 10/13、laminin-5において、正常な口腔上皮と類似した発現パターンを示した。さらに、上皮stem-cellや上皮の活発な増殖能を示すマーカーであるkeratin-19やPCNAでは、正常な口腔上皮と比べ、培養上皮全層で陽性細胞の発現が認められた。 本実験結果より、口腔上皮細胞とヒト乾燥羊膜による複合培養重層上皮シートは正常口腔粘膜上皮と比較し、より高い細胞活性と増殖能があることが判明した。さらにヒト乾燥羊膜は、接着性タンパクであるlaminin-5の発現も認められ、口腔粘膜上皮細胞培養における細胞外マトリックスとして、有用かつ妥当な組織であると思われた。本複合培養重層上皮シートは、ヒューマンセルラインによる培養上皮シート開発における有望な供給源となり得る事が示唆された。
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