2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子と高分子ヒアルロン酸を用いた歯周組織再生治療薬の開発
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20791466
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 克浩 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10452591)
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / 高分子ヒアルロン酸 / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
本研究は、BDNFを歯周組織再生治療に臨床応用することを目的として、安全性の高い高分子ヒアルロン酸複合体とBDNFの組み合わせがin vivoにおける歯周組織再生を促進するかどうかを明らかにすることとした。 雌ビーグル犬の下顎第2、3、4小臼歯にIII級根分岐部歯周組織欠損を作成し、アルジネート印象材を填入することで実験的歯周炎を惹起させた。一週間後、印象材を除去し、ルートプレーニングを行い、歯肉弁を元に戻して縫合した。その後ブラッシングを行うことで、炎症を軽度に抑えた歯周組織を確立した。さらに一週間後、BDNF(5、50μg/ml)/高分子ヒアルロン酸複合体を加えて欠損部に充填した。コントロール群として高分子ヒアルロン酸のみを充填した。手術後6週間経過観察した後、灌流固定を行い、組織標本を作製した。切片作成後、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、光学顕微鏡下にて組織観察を行った。 BDNF/高分子ヒアルロン酸複合体充填群では、露出象牙質表面の大部分で新生セメント質が観察され、作成した欠損の半分程度まで歯槽骨が再生していた。また、新生セメント質と新生歯槽骨の間には一定の幅を維持した歯周靭帯が存在していた。それに対し、コントロール群では、根分岐部直下に上皮の侵入がみられる標本が多く、歯周組織の再生もほとんど観察されなかった。 以上の結果から、BDNF/高分子ヒアルロン酸複合体は、歯周組織再生を促進する歯科材料となりうる可能性が示唆された。
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