2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内をシミュレートしたチタン合金の耐食性評価方法の確立
Project/Area Number |
20791478
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
武本 真治 Tokyo Dental College, 歯学部, 講師 (70366178)
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Keywords | チタン / チタン合金 / タンパク質 / 防食 / 表面修飾 / 電気化学 / 溶出試験 / 表面分析 |
Research Abstract |
本研究は、口腔内をシミュレートした環境で歯科用合金としてのチタン合金の耐変色性および耐食性を評価する方法を確立することを目的としている。そのためには、変色や腐食の原因物質とされる過酸化物やフッ化物による変色度、動電位分極特性や金属元素溶出量のみならず、口腔内タンパク質の影響を考えて総合的に解析する必要がある。 今年度は過酸化水素を含むアルカリ性生理食塩水中での数種類のチタン合金の変色程度と電気化学的腐食挙動について調べた。その結果、アルカリ性環境(pH10)においては、過酸化水素濃度の高くなるにしたがって、変色程度が大きくなることが明らかになった。その変色程度は純チタンよりTi-6Al-4VやTi-36Al-7Nbのような市販の合金の方が大きくなった。電気化学的腐食挙動を見ると、不動態保持電流密度が、溶液中の過酸化水素濃度の上昇に伴って大きくなり、酸化反応が有意に進行していることが伺えた。このことから、アルカリ性環境において、チタンやその合金は酸化反応が進行し腐食されていくと推察された。 一方で、タンパク質とフッ化物が同時に存在する環境下でのチタンの腐食についてXPSによる解析を行った研究がJoumalに受理された。その内容は、フッ化物のみの溶液中ではチタンの腐食反応が促進されるが、タンパク質が吸着している環境ではフッ化物による腐食反応が遅延することを明らかにした。 現在、電気化学的水晶振動子微小天秤法(EQCA : Electrochemical Quartz Clystal Analyzer)によるデータも収集中であり、来年度は表面分析と合わせて耐食性評価方法を確立する。
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