2008 Fiscal Year Annual Research Report
COX-2阻害剤による口腔扁平上皮癌の抗癌剤および放射線感受性増強の機構
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20791489
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 貴洋 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40444012)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / COX-2 / アポトーシス / 抗癌剤 / 放射線 |
Research Abstract |
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン(PG)合成系による律速酵素である。COXを標的分子とした薬剤に非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)があり、NSAIDsの抗腫瘍効果より、COXおよびPGが腫瘍形成において重要な役割を果たしている可能性が示唆され、COX-2は多くの悪性腫瘍において高発現が認められることが示唆されている。そこで、本研究課題では、口腔扁平上皮癌に対する、化学療法、放射線療法および放射線化学療法によるCOX-2の発現変化を検索し、COX-2阻害剤による相乗効果、およびその際のアポトーシス関連分子の動きを調べ、その機構を解析することを目的として実験を行っている。具体的には、ヒトロ腔癌細胞株を用いてシスプラチンおよびタキソテールでin vitroで刺激したところアポトーシスが誘導され、併せてCOX-2mRNAおよび蛋白の上昇が確認された。次いでCOX-2選択的阻害剤であるNS-398単独刺激にてCOX-2の産生が抑制されることを確認後、上記抗癌剤と共刺激したところ、抗癌剤単独刺激よりCOX-2の産生が抑制され、さらにアポトーシスの相乗効果を認めた。この結果はCOX-2阻害剤を抗癌剤と併用して用いることにより、癌治療効果の向上に寄与する可能性があることを示している。今後、さらに癌細胞を用い、放射線照射単独および抗癌剤と放射線照射の併用におけるCOX-2阻害剤の効果を検索した上で、癌細胞において、COX-2阻害剤がアポトーシス関連分子にどのような影響を与えているかを検索し、その機構を解明していく予定である。
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