2009 Fiscal Year Annual Research Report
再生軟骨周囲に高発現するペリオスチンの機能解析と軟骨再生医療への応用
Project/Area Number |
20791493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 夕子 The University of Tokyo, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50466744)
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Keywords | 再生医学 / 再生軟骨 / ペリオスチン |
Research Abstract |
本研究の目的は、軟骨細胞の再分化誘導機構を解明する一助として、再生軟骨周囲の軟骨膜様組織に高発現しているペリオスチンに関して、軟骨細胞や再生軟骨に対する作用機構を解明することである。 ペリオスチンノックアウトマウスを用いた再生軟骨移植における機能検討では、ペリオスチンノックアウトマウス(Pn-/-)および野生型マウス(Pn+/+)から耳介軟骨細胞を採取し、増殖能および軟骨分化能を比較した。その結果、Pn-/-とPn+/+マウスの培養軟骨細胞で増殖能に差は認められなかった。また軟骨分化に関してCol1、Col2の発現をrealtime RT-PCRで検討したところ、軟骨分化能に関しても有意な差は認められなかった。次に、Pn-/-およびPn+/+マウスから採取した軟骨細胞をそれぞれPLLA足場素材へ播種して再生軟骨組織を作製し、Pn-/-およびPn+/+マウス背部皮下へ同系移植を行った。Pn-/-の再生軟骨組織をPn-/-マウスへ移植した場合とPn+/+の再生軟骨組織をPn+/+マウスへ移植した場合では、移植後8週のトルイジンブルー染色で強いメタクロマジーを示す再生軟骨組織が観察された。Pn+/+の再生軟骨組織をPn-/-マウスへ移植した場合には、更に広汎な軟骨再生と、周囲の軟骨膜様組織の脆弱化が観察された。一方、Pn-/-の再生軟骨組織をPn+/+マウスへ移植した場合には、軟骨再生は著しく抑制され、再生組織内へのホスト由来細胞の浸潤が強くなる傾向が認められた。以上から、軟骨細胞に発現するペリオスチンが移植後の組織反応に抵抗して軟骨再生を促進するのに対し、ホスト由来細胞に発現するペリオスチンはホスト由来細胞の再生軟骨組織への浸潤を促進する、もしくは強力な軟骨膜様組織を形成することによって軟骨再生を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)